今年の健康診断の2点目の改善点は腎機能検査の大きな進歩です。
いまや犬猫ともに以前より長生きができるようになってきました。それに伴い高齢期で問題になる病気への対応が多くなっているのも事実です。心臓病や腫瘍などがイメージされることが多いですが、腎臓の病気も非常に多いです。
腎臓病のうち最も診断頻度が高いのが慢性腎不全です。実は慢性腎不全は早期から予防を行なうことで病気にまで進行を遅らせることができることはわかっています。しかし予防のためには腎臓病の予備軍を見つけなければなりません。ただしこの早期診断が非常に難しかったのも確かです。実際に何種類か早期診断の検査はあったのですが、有効性を強く実感できないでいました。
そのような状況ですが、昨年に検査が可能になったSDMAは非常に期待が持てると考えています。従来腎機能の指標に使われていた血清クレアチニン値は腎機能が75%以上低下しないと高値になりません。一方、SDMAは40%の低下で値が上昇します。また血清クレアチニン値は筋肉量の影響を受けやすいですがSDMAには影響しません。
そのためSDMAの測定により腎機能障害を早期診断が可能であり、イヌでは平均9.5ヶ月、ネコでは平均17ヶ月早く診断できると報告されています。
本来健康診断の目的は早期に異常を見つけて悪くなる前に対処を可能にするのが一番の目的です。SDMAはその目的に合致します。
詳しい資料についてはリンクを貼っておきますので気になる方はご覧ください。