No.5 寒い冬、乾燥の冬、室内飼いだからこそ起こる皮膚トラブル
〜診察の合間の一コマ〜
石田:さて、今年ももうすぐ終わりだね。一年早かったねー。
赤司:本当に。毎年毎年時間の流れが早くなってます。
石田:先生、それが歳を重ねるということだよ。
赤司:ポジティブに捉える様にします!💦
ところで、今診察してきたAさん(患者様)なのですが
10月後半からしばらく落ち着いていたのに夏期と同じような耳の痒み、体のフケと赤みが出てきたということでした。
元々暖かい時期に皮膚炎が出やすくて冬は一旦落ち着くことが多かったのですけどね。
石田:んーそのワンちゃん、寒がりさん?
ケアスタッフ:赤司先生ー、次の患者様来院されました!
赤司:分かりました!石田先生、そこまでは確認してないですが。。。次回確認してみます。
赤司の脳内:とは言ったものの・・・なんで寒がりさんが関係あるんだ??
石田先生の質問の意図が読めない・・・
〜それから2週間後の診察室にて〜
赤司:さて、Aさん。前回お出しした痒み止めは効いてそうですか?
Aさん:イマイチ効いてない気がします。
赤司:そうですか。体はなんだか乾燥してフケっぽくて痒そうですよね。
特に耳はかなり湿っていて汚れが多いですね。
Aさん:そうそう、耳は特に痒そうなんですよ。この子、犬なのにコタツの中とかヒーターの前が大好きなんです。
いつも暖かい所にいるんですよね。暑くないのかな?と思うほどです。
赤司の脳内:む?そういえば寒がりさんかどうか聞くんだった。
赤司:なかなかの寒がりさんなんですね?冬もお散歩は行かれるんですよね?
Aさん:そうですね、この子は最近特に寒がりで冬は散歩もあまり行きたがらないくらいなんですよ。
でも先生、この子の寒がりと痒みは何か関係あるんですか?
赤司の脳内:コタツの中・・・ヒーターの前・・・!!!全て繋がった!!!そういうことだったか!!
赤司:そうですね、耳に関しては恐らくこたつの中で上から温められたこと、それに加えて
垂れ耳なのもあり閉鎖空間になっている耳道内の環境が夏と同じような温度・湿度になった事が
原因かもしれません。
体も長時間温まりすぎて乾燥したり、熱を帯びることで血流が増し、痒くなることもあります。
Aさん:そういうことでしたか。
ここのところ急に寒くなって暖房器具をフル稼働させてるもんだから
この子の体も温まりすぎたかもしれません。
赤司:そうですね、コタツに入るのを控えさせることとヒーターからは少し遠ざけ、
体が熱を持つことを避けましょう。
あとは乾燥もすると思いますのでシャンプーの後の保湿や加湿器の導入なども検討しましょう。
〜2週間後〜
Aさん:やはりこの子温まりすぎてたみたいで部屋自体を温めて、
耳とか体が直接熱くならないようにしたら改善しました!
赤司:良かったです。今後もそのまま維持しましょうね。
石田:自分の突然の質問の意図、理解してもらえたかな。
夏に皮膚の症状が出やすい場合、冬で気温、湿度が低いから出ないという訳ではないんだよ。
特に動物は背も低いし暖かい空気は下に集まりやすいのでかなり熱を持ってしまって
痒みに繋がることもあるんではないかな。飼い主さんとの会話って重要だよねー。
皮膚科は良く話を聞いて、動物の性格や癖なんかも把握する事が治療の近道になるんです。
赤司:今目の前にある皮膚だけではなく、
お家での様子などを事細かに聞くことがどれだけ大事なのか分かりました!
明日からの診療においてもきちんと聞いて理解すること、心がけます。
「皮膚科は良く聞く科。」かつて恩師に教えてもらった言葉が改めて身に沁みた赤司であった。